「4年落ちの中古車は節税になる」の本当の意味
――耐用年数2年・定率法・個人事業主の届出と按分まで

この記事の結論
・4年落ちの普通車の耐用年数は2年。定率法なら期首に買えば初年度にほぼ全額を経費にできます
・ただし個人事業主の償却方法は定額法が原則。定率法にするには届出(すでに車両を持っている人は変更申請)が必要です
・これは節税ではなく「課税の繰延べ」。売却すれば利益が出ますし、購入月と事業按分で効果は大きく変わります

なぜ「4年落ち」なのか――中古資産の耐用年数

新車の普通自動車の法定耐用年数は6年です。中古で買った場合は、残りの使用可能期間を見積もることになっていますが、実務ではほぼ全員が次の「簡便法」を使います。

経過年数計算耐用年数定率法の償却率(200%定率法)
1年落ち(6−1)+1×0.2=5.25年0.400
2年落ち(6−2)+2×0.2=4.44年0.500
3年落ち(6−3)+3×0.2=3.63年0.667
4年落ち(6−4)+4×0.2=2.82年1.000
5年落ち(6−5)+5×0.2=2.02年1.000
6年以上6×0.2=1.2→2年未満2年1.000

4年落ちで耐用年数が2年になり、定率法の2年の償却率は1.000です。つまり期首に買って事業に使い始めれば、初年度に取得価額のほぼ全額(備忘価額1円を残して)を償却できる。これが「4年落ちの中古車は節税になる」と言われる理由です。定額法なら2年で半分ずつです。

なお、3年落ちだと3年(償却率0.667)、5年落ちでも同じ2年なので、「4年落ち」は最短の耐用年数になる最も新しい年式、という意味です。

個人事業主の落とし穴――償却方法は定額法が原則

ここが一番見落とされる点です。法人は車両の法定償却方法が定率法なので、何もしなくても定率法で償却できます。しかし個人事業主の法定償却方法は定額法です。定率法で償却したいなら、次の手続きが必要です。

後者は期限が「その年の3月15日」、つまり買う前に出しておく必要があります。「4年落ちを買ったから定率法で」と確定申告のときに気づいても、その年は定額法になります。

購入月と事業按分で効果は変わる

減価償却費は事業に使い始めた月から月割です。期首(個人なら1月)に買えば12か月分、12月に買えば1か月分しか償却できません。「年末に駆け込みで買って全額経費」はできません。

また、プライベートでも使う車は、事業で使う割合(事業按分)の分しか経費になりません。按分の根拠は走行距離や使用日数など、説明できる基準で決めます。

試算例:取得価額400万円、4年落ち、1月に購入、事業按分60%、税率30%(所得税20%+住民税10%と仮定)

売るときに戻ってくる――課税の繰延べ

初年度に全額償却した車を2年後に200万円で売れば、帳簿価額はほぼゼロなので200万円近くの利益が出ます。個人事業主の場合、事業用車両の売却は譲渡所得(総合課税)となり、50万円の特別控除、保有5年超なら2分の1課税という計算になります(事業按分していた場合は事業用部分で計算)。法人なら固定資産売却益です。

つまり中古車の償却は、税金を減らすのではなく、課税のタイミングを後ろにずらす効果です。リセールバリューの高い車ほど、売却時の利益も大きくなります。利益が大きく出た年に買い、所得が下がる年に売る、といった所得の平準化として使うのが正しい理解です。

そのほかの注意点

こんな方はご相談ください
・車の買い替えを考えていて、今年買うのと来年買うのでどれだけ違うか知りたい
・個人事業主で、定率法の届出や変更申請が必要か確認したい
・事業按分の割合をどう決め、どう説明できるようにしておくべきか相談したい

当事務所では、購入時期・価格・按分割合ごとに複数年の税負担を並べた試算をお出ししています。初回相談は30分無料です。
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執筆・監修: 酒瀬川 泰裕
公認会計士・税理士(公認会計士登録番号32245/税理士登録番号153477)

本記事は公開日時点の法令・公表情報に基づく一般的な解説です。個別の税務判断は事業者ごとの事情により異なりますので、具体的な適用にあたっては個別にご相談ください。

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