当事務所は、月次の経営報告で「利益がどこに置き換わったか」を1枚でお示ししています。この記事は要点だけ。3分で読めます。
例(1年間、単位:千円)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 税引後の利益 | 1,000 |
| + 減価償却費(お金が出ていかない費用) | +300 |
| − 在庫の増加 | △600 |
| − 売掛金の増加 | △400 |
| + 買掛金の増加 | +200 |
| − 借入金の返済(元金) | △500 |
| 手元に残った現金 | 0 |
黒字100万円でも、残った現金はゼロ。「儲かっていないのでは」ではなく、儲けが在庫と売掛金と借入返済に置き換わっただけです。
月商1,000万円(売掛2か月・在庫1か月・買掛1か月、原価率70%)の会社が、月商1,500万円になった場合。
| 月商1,000万円 | 月商1,500万円 | |
|---|---|---|
| 売掛金 | 2,000万円 | 3,000万円 |
| 在庫 | 700万円 | 1,050万円 |
| 買掛金 | △700万円 | △1,050万円 |
| 必要な運転資金 | 2,000万円 | 3,000万円 |
売上が5割増えると、約1,000万円が先に出ていきます。これが「増収なのに資金が苦しい」の正体で、本来は借入で用意しておくべきお金です。
在庫・売掛金・買掛金の残高を見ても、多いか少ないか判断できません。何日分あるかに直すと、比べられるようになります。
| 指標 | 計算 | 意味 |
|---|---|---|
| 売上債権回転日数 | 売掛金 ÷ 月商 × 30 | 売ってから入金までの日数 |
| 棚卸資産回転日数 | 在庫 ÷ 月商原価 × 30 | 仕入れてから売れるまでの日数 |
| 仕入債務回転日数 | 買掛金 ÷ 月商原価 × 30 | 仕入れてから支払うまでの日数 |
例:売掛60日 + 在庫30日 − 買掛30日 = 60日。
月商1,000万円なら、常に2,000万円が寝ている状態です。これが「必要な運転資金」の正体で、売上が伸びればこの金額も比例して増えます。
この3つの日数を月次報告に並べるだけで、どれが悪化したのかが一目で分かります。在庫日数だけが伸びているなら仕入れすぎ、売掛日数が伸びているなら回収の遅れ——打ち手が変わります。
| 置き場所 | 打ち手 | 効き方 |
|---|---|---|
| 在庫 | 発注点の見直し、滞留在庫の処分、 仕入ロットの縮小 | すぐ効く。ただし欠品との綱引きになります |
| 売掛金 | 請求の締日を早める、前受け・着手金、 回収サイトの交渉 | 交渉が要るが、一度直れば毎月効きます |
| 借入金の返済 | 返済期間の延長、長期への借換え、 短期の運転資金枠の設定 | 最も速い。増加運転資金は本来、借入で持つものです |
| 税金・社会保険・賞与 | 毎月、概算額を別口座に積む | 資金繰りが平らになります |
順番としては、まず借入の組み方を見直すのが現実的です。在庫や売掛金の改善は相手のある話で時間がかかりますが、増加運転資金を短期の借入枠でまかなうのは、今月からでもできます。
本記事は公開日時点の法令・公表情報に基づく一般的な解説です。個別の税務判断は事業者ごとの事情により異なりますので、具体的な適用にあたっては個別にご相談ください。